登録支援機関はどう選ぶ?役割から支援内容まで詳しく解説します

登録支援機関はどう選ぶ?役割から支援内容まで詳しく解説します 特定技能

執筆者:井潟百之威(株式会社スキルディッシュ 代表取締役)

本記事では、特定技能外国人を支援することができる登録支援機関の選び方について解説していきます。
登録支援機関の役割から、支援内容まで詳しくまとめていますのでご覧ください。

特定技能の詳細、特定技能と技能実習の違いについてはこちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

また、飲食料品製造業・外食業の分野別の詳細につきましてはこちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

1.登録支援機関とは?

それでは、登録支援機関について詳しく見ていきましょう。

特定技能外国人を雇用する場合、受入れ企業はその外国人の職場や日常生活に対する支援を行う義務があります

支援は受入れ企業(雇用主)自身で行う方法と、登録支援機関に委託する方法の2つから選べます。
しかし、これらの支援は書類作成などの専門的な知識が必要になることもあり、すべてを受入れ企業のみで行うことは困難な場合が多いです。

この支援を効率的に行うために、「登録支援機関」を利用することができます。
つまり登録支援機関とは、特定技能外国人を雇用した企業から委託を受け、その外国人の支援を代行する機関です。

自社で支援する場合
登録支援機関に委託する場合

初めて特定技能外国人を雇用する場合、自社での支援は難しいと感じる企業も多いでしょう。
実際に全体の84.4%の企業が支援業務を登録支援機関に委託しています。

登録支援機関へ支援を委託する場合、「登録支援機関登録帳簿」に掲載があるかをまずは確認しましょう。
この帳簿は日々更新されており、登録支援機関の所在地や電話番号だけでなく、対応可能言語などが記載されています。

参考:出入国在留管理庁|登録支援機関簿

登録支援機関は24年6月時点で約10,000社存在します。
登録支援機関への委託を検討しているが、どの登録支援機関が良いか分からない。そんなお悩みはありませんか?

そんな時も、スキルディッシュまでお問い合わせください。
食品業界の実績豊富で安心して委託いただける登録支援機関も併せてご案内させていただきます。

2.登録支援機関による支援の内容・役割

登録支援機関は支援計画に基づいて、受入れ企業と特定技能外国人の間に入って中立的な立場で支援を行います。
具体的な支援内容は、日本入国・在住時の書類手続きのサポートや、受入れ企業との認識のズレを無くすことのできる母国語でのフォローアップ、生活インフラ整備を含めた就業支援等が挙げられます。

登録支援機関を利用することで、受入れ企業は特定技能外国人の支援を効率的に行うことができ、日々安心して働ける環境を提供できるでしょう。

登録支援機関の支援内容はとしては、以下の3つが挙げられます。
①支援計画の作成
②義務的支援・任意的支援の実施
③契約内容に変更等があった際の、出入国在留管理庁への変更報告

それぞれについて、詳細を解説していきます。

2-1.支援計画書の作成

特定技能外国人を採用することが決まった際には、まず「支援計画の作成」が必要です。
この支援計画は、特定技能外国人が仕事中や日常生活を円滑に行うために作成するものです。

支援計画書の作成にあたっては、特定技能外国人が十分に内容を理解できる言語で作成し、本人に説明した上で署名を得る必要があります。

基本的に受入れ企業自身が主導で作成する必要がありますが、登録支援機関に支援業務を委託している場合であれば、登録支援機関から助言や補助等のサポートを受けながら進めることが可能です。
作成から特定技能外国人への説明に至るまで、スムーズに進めることができるでしょう。

2-2.『義務的支援』の実施

支援計画には、必ず行わなければならない下記の「義務的支援」が含まれます。
登録支援機関に委託する場合、これらの支援を任せることができます。

支援計画の概要

出典:法務省|特定技能制度|制度説明資料「外国人材の受入及び共生社会実現に向けた取組」

それぞれの「義務的支援」の概要について、詳しく解説します。

『義務的支援』の実施

①事前ガイダンス ※外国人の理解できる言語で行う必要あり
→雇用契約を締結した後、かつ、在留資格に関する申請をする前に行います。

②出入国の際の送迎
→入国の際と出国の際に、保安検査場の前まで一緒に同行し、入場までを見届ける必要があります。
なお、一時帰国の場合は送迎の義務はありません。

③住居確保・生活に必要な契約支援
→住居や銀行口座等の開設、携帯電話やライフラインの契約等を案内し、手続きの補助まで行う必要があります。
なお、寮は必須ではありません。シェアハウスも可能ですが、住居の要件であるプライベートスペースが7.5平方メートル(約5畳)以上の間取りが必要となります。

④生活オリエンテーション ※外国人の理解できる言語で行う必要あり
→日本のルールやマナー、公共機関の利用法や連絡先、災害時の対応等について、円滑に社会生活を営めるように生活オリエンテーションにて説明を行います。

⑤公的手続き等への同行
→必要に応じて、住居の確保、社会保障、税などの手続きの同行、書類作成の補助を行う必要があります。

⑥日本語学習の機会提供
→日本語教室の入学案内や、日本語学習教材の情報提供等を行う必要があります。

⑦相談・苦情への対応 ※外国人の理解できる言語で行う必要あり
→職場で困っていることや、日本で生活する上での相談や苦情等について、外国人の理解できる言語での対応、内容に応じた必要な助言や指導等が必要です。

⑧日本人との交流促進
→日本の文化・風習などに触れ合う機会を作れるよう、地域のお祭りや地域住民との交流の場の機会などの情報提供を行う必要があります。

⑨転職支援
→企業側の都合により雇用契約を解除する場合には、その後の転職先や求人先を探す手伝いや、推薦状の作成等が必要です。
なお、自己都合退職の場合は転職サポートは必要ありません。

⑩定期的な面談、行政機関への通報
→支援責任者に定めた人物が、3ヶ月に1回以上、外国人本人とその外国人の直属の上司と面談を行う必要があります。
労働基準法違反がある場合、通報する義務があります。

2-3.義務付けられている報告書類の提出

特定技能外国人を雇用する場合、四半期に一度定期報告書類を作成して出入国在留管理庁へ提出することが義務付けられています。また、契約内容等に変更が生じた場合には、随時書類を作成して提出する義務があります。

これらのほとんどの資料作成も、登録支援機関へ委託することが可能です。

定期報告の対象期間定期報告の提出期限
第1四半期1月1日~3月31日4月15日まで
第2四半期4月1日~6月30日7月15日まで
第3四半期7月1日~9月30日10月15日まで
第4四半期10月1日~12月31日翌年の1月15日まで

定期報告の内容

◆特定技能外国人との定期面談報告書
◆特定技能外国人の監督者との定期面談報告書
◆受入れ・活動状況の報告書
◆報酬の支払い状況の報告書
◆賃金台帳の写し(特定技能外国人のもの)
◆賃金台帳の写し(比較対象となる日本人のもの)
◆支援実施状況の報告書
◆支援対象者の名簿
◆相談記録書

※その他、契約内容等に変更が生じた場合も随時書類を作成して提出する義務があります。

引用:法務省|特定技能制度定期届出書の記載方法と留意点

3.登録支援機関に委託するメリット

先述のとおり、特定技能外国人を雇用している企業の84.4%が、支援を登録支援機関に委託しているのが現状です。
なぜ受入れ企業の多くが登録支援機関を利用しているのでしょうか

ここからは、登録支援機関に委託するメリットを見ていきましょう。

3-1.日々の業務に集中できる

まずメリットとして挙げられるのが、企業が日々の業務に集中できるという点です。
仮に登録支援機関を使用せず、自社で支援を行う場合は下記条件を満たす必要があります。

◆支援責任者および1名以上の支援担当者がいること
◆ 外国人が理解できる言語での支援体制が整っていること
◆支援責任者または支援担当者が、外国人およびその監督をする立場の者と定期的な面談を実施する体制があること
◆2年以内に企業として就労資格を持った中長期在留外国人の採用をしたことがあるか、支援責任者および支援担当者が2年以内に中長期在留外国人への生活相談業務に従事した経験があること
(特定技能外国人の直属の上司が支援責任者になることはできません)
◆1年以内に特定技能外国人または技能実習生の行方不明者を発生させていないこと
◆5年以内に関係法令を犯していないこと
◆支援の費用を外国人に負担させていないこと

上記の条件を満たす社員がいない場合、自社で支援を行うためには、その条件を満たすスタッフを新たに雇用する必要があります。
また、外国人を採用する際には、母国語で仕事のマニュアルを作成するなど、日々の業務も増える傾向にあります。

そのため、煩雑になりがちな出入国在留管理庁など政府関係機関との書類のやりとりを含む支援は登録支援機関に任せ、日々の業務や雇用している外国人の教育に集中したいと考える企業が多いのです。

3-2.外国人とのトラブルを防ぎやすい

日本人同士の場合とは異なり、外国人とのコミュニケーションでは意思疎通がうまくいかない場面も出てくるでしょう。この状況を放置すると、日々の業務に支障をきたすようなトラブルの原因となってしまいます。

そのような場合、母国語で対応してくれる登録支援機関が間に入ることで、問題が大きくなる前に解決することができるのです。

トラブルを未然に防ぐためにも、受入れ企業は外国人に対して、具体的な指示・評価を心掛けましょう。

4.登録支援機関に支援を委託する場合の選び方

前述のとおり、登録支援機関は2024年9月時点で約10,000社存在します。
では、どのようなことに注目して登録支援機関を選べば良いのでしょうか。

4-1.支援内容で選ぶ

まず挙げられるのが、支援内容に着目して登録支援機関を選ぶことです。
各登録支援機関によって、支援範囲に差があったり、得意分野があったりします
特に支援内容については、下記3点に注目して選ぶことがおすすめです。

◆自社の業種に対して、豊富な実績があるかどうか
→特定技能は全16分野に及びます。
登録支援機関の中にも食品業界に強い登録支援機関もあれば、建設業界に強い登録支援機関もあります。自社の業種に対して、豊富な実績のある登録支援機関を選ぶとよいでしょう。

◆支援できる言語の数
→将来的に、様々な国の人材を採用する可能性がある場合、1言語のみにしか対応していない登録支援機関を選んでしまうと、都度新しい登録支援機関を探さねばなりません。複数の言語に対応している登録支援機関をはじめから選んでおくとよいでしょう。

◆支援の範囲やサポート体制
→就労当初は、日本語能力が向上途中であったり、毎日の仕事を覚えることで精いっぱいだったりします。
そんな中で、日々の生活や日本語学習のサポートを登録支援機関から受けられれば精神的にも支えになるでしょう。
どこまで登録支援機関がサポートしてくれるのかも重視して選びましょう。

4-2.支援人数で選ぶ

次にあげられるのが、今までに支援した人数(実績)で選ぶことです。
支援をした外国人の数が多ければ、コミュニケーションを取る回数も多くなるため、その分だけ外国人の考え方への理解度が深まっている可能性が高いです。

支援人数に注目して絞り込むことも、登録支援機関選びで失敗しないための近道です。

4-3.費用で選ぶ

最後に挙げられるのが、支援費用に着目して選ぶことです。
特定技能外国人を支援する地域・言語によって差はありますが、全体的に月々25,000円から30,000円/人の委託料が相場となっています。

料金の安い登録支援機関を選べばいいのかというと、必ずしもそうではないことに注意しましょう。安価な登録機関ではフォローしてくれる業務の範囲が狭いことも多々あります。

人手不足を解消するために特定技能外国人を雇用しているため、支援業務に人手を割くことは最小限にしたい受入れ企業は多いでしょう。
登録支援機関に委託する際は、トラブル時の対応など、「どの業務までフォローしてくれるか」を必ず契約前に確認しましょう

5.登録支援機関に委託する際の注意点

見落としがちですが、受入れ企業と登録支援機関の間でトラブルになるケースもあるでしょう。
トラブルを避けるためにも、委託前にしっかりと支援範囲については確認しましょう。

登録支援機関にすべての支援を委託した場合、義務的支援に記載されている項目はすべて登録支援機関の支援範囲ですが、その他にも受入れ企業特有のケースがある場合は必ず相談しましょう

実際に支援を受けてからでないと分からない点も多いですが、どこまでが登録支援機関の業務で、どこからが受入れ企業の業務かを可能な限り明確に線引きしておくことが重要です。

また、登録支援機関へ委託した際でも、外国人に対する理解は欠かさないように心掛けましょう。
実際に現場で一緒に働く従業員の方にも、特定技能外国人を理解していただき、互いに働きやすい環境を創っていくことが大切です

まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回は、登録支援機関の役割と選び方ついて解説しました。

特定技能外国人の自社での支援が難しいと感じる場合、登録支援機関への委託を検討してみましょう。

スキルディッシュは、「日本の食品業界で働きたい特定技能外国人」を専門にご紹介することが可能です。
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この記事を書いた人

株式会社スキルディッシュ 代表取締役 井潟 百之威

日本が世界に誇る「食」の魅力を最大限に引き出したい。

その志を胸に、株式会社スキルディッシュは日々挑戦しています。
日本の「食」は美味しさ、製造工程、衛生管理など様々な面で世界中から評価されています。
しかし、食品業界を取り巻く環境はどうでしょうか。少子高齢化による労働人口の減少で深刻な人手不足に直面しており、生産制限や企業倒産が社会課題となっています。

人手不足を解決するために外国人材の雇用が注目されていますが、食品企業の雇用体系を理解しないまま人材が就労してしまい、すぐに辞めてしまったり、地方拠点の企業は雇用機会がなかったりと問題が山積しているのが現状です。

『全国の食品企業が自社に適した外国人材を雇用することが社会課題の解決に繋がり、ひいては日本の「食」をより魅力あるものにする』との想いから、これからも食品業界に特化した人材事業を展開して参ります。

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