執筆者:井潟百之威(株式会社スキルディッシュ 代表取締役)
特定技能外国人の雇用を検討しているが、何から始めればよいかお悩みの企業様も多いかと思います。
本記事では、雇用するまでに検討すべきことを4つのステップに分けて解説していきます。
なお、特定技能についての詳細や登録支援機関につきましてはこちらの記事をご覧ください。
STEP1.受入れができる分野に属しているかを確認する
特定技能の対象は16分野に及びます。
まずは、自社が特定技能を受入れることができる業種・業務内容・施設・事業形態なのかを確認しましょう。
確認にあたり、自社の業務内容が特定技能の対象範囲かどうか分からない場合は、各管轄省庁に問い合わせましょう。下記の問い合わせ先一覧よりご確認いただけます。
スキルディッシュでは、食品業界(飲食料品製造業・外食業)に特化して人材のご紹介が可能です。
飲食料品製造業・外食業それぞれの分野別の条件詳細につきましては、下記記事よりご確認ください。
STEP2.特定技能の要件・必要な資格(企業側、外国人側)を確認する
特定技能外国人を受入れるには、企業と外国人の双方が要件を満たす必要があります。
それぞれの要件について確認しましょう。
2-1.企業側の要件・必要な資格
特定技能外国人の受入れを検討している企業は、下記要件を全て満たしているかを確認しましょう。
- 基準要件
- 雇用契約の要件
- 雇用後の義務の履行
- 協議会への加入
①基準要件
◆労働、社会保険及び租税に関する法令を遵守していること
→前提条件ですが、雇用後も定期的に出入国在留管理局からのチェックが入るため遵守しましょう。
◆1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと
→日本人も対象となりますので注意しましょう。
◆1年以内に行方不明者を発生させていないこと
→受入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないか確認しましょう。(技能実習も含みます)
◆欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと
→過去5年間に遡って確認しましょう。
◆支援に要する費用を、直接または間接に外国人に負担させないこと
→支援にかかる費用を外国人本人に負担させることはできません。
◆外国人等が保証金の徴収等をされていることを受入れ企業が認識して雇用契約を締結していないこと
→例えば、外国人本人の早期退職や失踪を防ぐために、あらかじめパスポートや金品を預かる行為はできません。
◆違約金の徴収等を定める契約等を締結していないこと
→外国人本人の早期退職や失踪を防ぐために、違約金等を定める行為はできません。
◆報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと
→銀行口座への振込が原則となります。
②雇用契約の要件
◆分野ごとの省令で定める技能を要する業務に従事させるものであること
→特定技能の対象業種かつ該当の業務に従事させる雇用契約である必要があります。
◆直接雇用かつ、正社員での雇用であること
→飲食料品製造業/外食業分野での派遣社員での雇用はできません。
◆所定労働時間が、同じ受入れ企業に雇用される通常の労働者の所定労働時間と同等であること
→同ポジションで雇用をしている日本人従業員と同じ条件である必要があります。
◆報酬額が日本人が従事する場合の額と同等以上であること
→同ポジションで雇用をしている日本人従業員と同じ条件である必要があります。
◆外国人であることを理由として、待遇等に差別的な取扱いをしていないこと
→労働時間や給与だけではなく、その他の福利厚生なども日本人と同等である必要があります。
◆一時帰国を希望した場合、休暇を取得させるものとしていること
→日本人雇用時と、同等の待遇が必要です。一時帰国の際の休暇取得できる日数や、繁忙期等で一時帰国が難しい期間がある場合、入社前に本人の理解できる言語で書面等で交わしておきましょう。
◆受入れ企業が外国人の健康や、その他の生活の状況を把握するために必要な措置を講ずることができること
→日本人同様に、健康診断を受診させることも必要です。
◆契約終了後の出国が円滑になされるよう必要な措置を講ずることとしていること
→契約終了に伴い外国人が帰国する際は、帰国旅費は本人が自己負担できるよう措置を講じましょう。
③雇用後の義務の履行
◆外国人と結んだ雇用契約を履行すること
→雇用契約通りに雇用をしているかどうかは入国管理局のチェックが必ず入ります。
確実に履行できる雇用契約にしましょう。
◆外国人への支援を適切に実施すること
→特定技能外国人の雇用後は義務的支援を行う必要があります。
◆出入国在留管理庁への各種届出を行うこと
→特定技能外国人の雇用後は各種の報告業務を行う必要があります。
④協議会への加入
特定技能外国人を雇用する場合、協議会に加入する必要があります。
協議会は16分野ある特定技能の各管轄省庁を中心に、特定技能外国人の適切な受入れや保護等を目的に組織されています。
飲食料品製造業と外食業は農林水産省管轄の、食品産業特定技能協議会への加入が必要となります。
なお、加入費用・年会費等は無料です。
参考:農林水産省「食品産業特定技能協議会(飲食料品製造業分野・外食業分野)について」
2-2.外国人側の要件・必要な資格
外国人側に必要な要件は下記のとおりです。
外国人が「特定技能」の在留資格で働く方法は複数あります。
下記のいずれかを満たしている必要がありますので、確認しましょう。
◆海外在住者が試験に合格していること
→技能評価試験(各業種ごとの試験)、日本語評価試験(全業種共通)の2つの試験に合格する必要があります。
◆国内在留者が試験に合格していること
→技能評価試験(各業種ごとの試験)、日本語評価試験(全業種共通)の2つの試験に合格する必要があります。
例)留学生が上記試験に合格
◆技能実習2号以上を修了していること
→技能実習2号もしくは3号を修了後、特定技能への移行ができるようになります。
特定技能へ移行する業務が技能実習で従事していた業務と関連性がある場合、試験は免除となります。
STEP3.支援を登録支援機関へ委託するか、自社で行うか選ぶ
特定技能外国人を雇用する場合、受入れ企業はその外国人の職場や日常生活に対する支援を行う義務があります。
支援は登録支援機関に委託する方法と、受入れ企業(自社)で行う方法の2つから選べます。
3-1.登録支援機関へ支援を委託する場合
登録支援機関とは、特定技能外国人を雇用した企業から委託を受け、その外国人の支援を代行する機関です。
登録支援機関の支援内容の詳細や費用に関しては下記記事にてまとめていますのでご覧ください。
3-2.自社で支援を行う場合
自社で支援を行う場合は、特定技能外国人の雇用に対して義務付けられている支援・報告書の作成や提出も自社で行わねばなりません。
さらに、下記の要件を満たしていることが支援条件となりますので確認しましょう。
◆支援責任者および1名以上の支援担当者がいること
◆ 外国人が理解できる言語での支援体制が整っていること
◆支援責任者または支援担当者が、外国人およびその監督をする立場の者と定期的な面談を実施する体制があること
◆2年以内に企業として就労資格を持った中長期在留外国人の採用をしたことがあるか、支援責任者および支援担当者が2年以内に中長期在留外国人への生活相談業務に従事した経験があること
(特定技能外国人の直属の上司が支援責任者になることはできません)
◆1年以内に特定技能外国人または技能実習生の行方不明者を発生させていないこと
◆5年以内に関係法令を犯していないこと
◆支援の費用を外国人に負担させていないこと
初めて特定技能外国人を雇用する場合、自社での支援は難しいと感じる企業も多いでしょう。
実際に全体の84.4%の企業が支援業務を登録支援機関に委託しています。
登録支援機関へ支援を委託する場合、「登録支援機関登録帳簿」に掲載があるかをまずは確認しましょう。
この帳簿は日々更新されており、登録支援機関の所在地や電話番号だけでなく、対応可能言語などが記載されています。
STEP4.ビザ申請を自社で行うか第三者に任せるか選ぶ
ビザ申請を自社で行うか第三者に任せるかも選びましょう。
特定技能外国人を雇用する場合、在留資格(ビザ)を申請する必要があります。
自社でビザ申請を行うことも可能でですが、こちらも申請には非常に多くの手続きや提出書類が必要となります。
書類準備等にかかる手間や時間を考え、登録支援機関や行政書士などの第三者に任せる方が多いです。
参考までに、下記が用意する必要のある書類一覧となります。
必要書類①外国人本人に関する書類
必要書類②企業に関する書類
5.全体の流れ
以上が、特定技能外国人の雇用する際に検討すべき4つのステップです。
最後に、全体の流れを求人開始~勤務開始までと、勤務開始後に分けて見ていきましょう。
勤務開始後は、四半期に一度対面での面談や、定期報告書類の作成が必要です。
ビザの更新申請も、1年ごとに必要となりますので覚えておきましょう。
6.まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、特定技能外国人の雇用で検討すべき要件を4つのステップに分けて解説してきました。各ステップごとの要件を自社が満たしていることを確認し、計画的にに採用準備を進めましょう。
スキルディッシュは、「日本の食品業界で働きたい特定技能外国人」を専門にご紹介することが可能です。
さらに、採用後のビザ申請手続きや、就業後の支援業務を行う登録支援機関のご案内まで、フルサポート体制を整えておりますので安心してご利用いただけます。
最適な人材を見つけることが難しい外国人採用だからこそ、専門会社にお任せください。
食品業界(飲食料品製造業・外食業)で特定技能外国人の採用を検討中の企業様は、ぜひお問い合わせください。
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